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第6話:強襲!合成獣!



「あのぅ・・・」
半歩前を進んでいたシールが歩みをやめ、話しかけてくる。
「あれを・・・」
それにならいノークも馬を静止させる。
「はっはっはっはっ!野郎ども!カモが来たぜ」
「おおおおお!!!!」
アルフ達の通行を阻止せんばかりに、道を塞ぎ広がるゴロツキ。
「道を開けてもらおうか」
「開けてもらおうかーだってさ」
「しゃーっはっはっはっ」
シールの一言が連中の笑いを誘う。
「シール!」
「はいっ!やりますよアルフ君!エドガーさん!!」
シールが剣を抜き白馬から飛び下りる。
「がんばれっ!!」
アルフがガッツポーズで応援する。
「はいっ!って?ええ?!」
「子供のオレに荒っぽいことさせちゃ駄目だよ、エドガーも昨日のゴタゴタで怪我しちゃってるからきついでしょ?」
「はい」
頷いたのはエドガーではなく、ミューラだった。
「ってことで頑張れ」
「うう・・・ずるいや」
「ほらほらちゃんと前向いてないと」
などと緊迫感のあるようなないような会話をしている間に、シール対野盗の戦いの幕があがった。



「どうして戦わないのですか?」
「んー?怪我したくないからねぇ、気になる事もあるし」
「?」
「それにシールだけでも楽勝だよ」
ほら、とシールのほうに視線を促す。そこにはすでに2人ほど倒したシールが剣を振るっていた。
「強いんですね、彼」
「戦闘経験さえ積めば、シールはかなり戦いの幅が広がる・・・と、思うよ」
「はぁ」
「・・・見られてるな」
エドガーが荷台から降りて馬車の横につける。
「そうなんだけど、どうにも嫌な視線なんだよね」
「危険な感じだな」
視線をシールから離さずに話しをする。
「ひいぃぃぃ、は・・話がちげぇ!」
野盗の一人が騒ぎ立てる。
「お約束なやつがいるね、シール!そいつ生け捕り!!」
「了解っ!」
シールはその男を取り押さえる。
「さっさと去れ!この男も用が済んだら解放する!!」
シールが声をあげると、気絶している連中をかかえて野盗が逃げ出した。
「見事だ」
エドガーがシールを賛辞する。
「それで・・・何の話が違うんだろうね?」
「ほら、話すんだ」
シールが背中を押す。
「それは・・・ですね、へへへ」
「それに関しては俺達に任せてくれよ」
突然見知らぬ声が沸く。
「・・・どこのどなたですか?」
シールがその声の主に語りかける。
そこにはフードをかぶった大小の人影が2人組。
「本命・・・かな?よっと」
アルフが馬車にくくりつけられた長剣を取る。
「ええ?!それアルフ君のなの?!」
「話の腰を折らないでよね・・・」
アルフは剣を担いで2人組みを見据える。
「さっきからの視線、あんたらだろ?」
「そうさ、そこのデカイのの力量が知りたかったんだが・・・」
大柄のフードの男がエドガーを指をさす。
その指は長い爪と動物の体毛がひそんでいた。
「な・・・なんですかこの連中は?!」
シールが声を荒げる。
「合成獣・・・おぞましい生き物め!」
うめく様にエドガーがつぶやく。
「なってみれば気持ちいいもんだぜ?」
おどけるようにその大柄の男はフードを引き剥がす。
大柄の男は狼の顔をしていた。
「ガルーダ、そのチビはお前にやる。この兄ちゃんとおやじはオレが貰うぞ」
「・・・・」
耳元まであらん口を広げて、その狼男はにやりと笑った・・・ように見えた。



「しゃあ!」
ガルーダと呼ばれた合成獣がアルフに襲い掛かる。
「あんたの顔も見せてくれよっなっと」
アルフは半身でガルーダの手刀をかわす、その手にはするどい爪が覗けていた。
「お前が強ければ見せてやるよ」
フードの奥から声が聞こえてくる。
「だああああぁぁりゃぁ!!」
アルフは鞘のままの剣でガルーダと呼ばれた者に横凪の一撃。
「ひょうっ」
その一撃をしゃがんでかわすガルーダ、そしてそのまま両手の爪で飛び掛る。
アルフは間一髪で後ろにかわすと、そのまま足で相手を蹴り上げる。
「鳥みたいな手だな・・・気持ち悪いヤツ」
アルフの足は交差されたガルーダの腕で防がれていた。
「あんたもなってみるか?思っているよりもっと気持ち悪いぜ?」
そうおどけつつ、腕でアルフの体を押し飛ばす。
アルフは剣でバランスを取ろうとする。
「遅いっ!」
構えが終わる前に、ガルーダが距離を積めてアルフの懐に入る。
「ぐっ」
同時に飛んできた手刀を瞬間的にかわそうとするアルフ。
「ぐはっ!」
アルフが後方に飛んで体勢を整える。
「・・・・仕留める予定だったのに」
そう呟いたのはアルフだった。
「・・・・」
後方へ飛び退く瞬間に、アルフの剣がガルーダの肩を捕らえていたのだ。
アルフの鞘には地面に突き刺せるよう先端から中腹まで補強されている、その部分で削るよう相手に攻撃を加えたのだった。
「・・・殺すっ!」
再び突っ込んでくるガルーダ。さしたるダメージは与えていないようだが、それが逆にプライドを傷つけたようだ。
「へっ」
ガンッ!!!
「ぐっ」
アルフの拳がガルーダの傷口を捕らえた。
「こっちの方がやりやすいな」
そういうとアルフは剣を地面に刺した。
「抜かせるか!」
ガルーダが近距離で爪を閃かせる!
「抜かねぇよ」
「!」
アルフは柄から手を離してガルーダの顔面に蹴りをいれる。
不意打ちだったのだろう、ガルーダはそれをもろに顔にもらい後方に吹き飛ぶ。
その時、ガルーダのフードもはだけた。
「・・・ねずみ?」
フードがはがれたガルーダの顔は、げっ歯類の顔。いわゆるネズミのような顔をしていた。
「・・・仕切りなおしだ」
ガルーダはフードを投げ飛ばし、一気に駆け出す。
顔と同様に上半身も獣の毛で覆われていた。
「はぁぁ!」
アルフに両手、そして両足の爪による連撃が繰り出される。その手足は鳥のような形でアルフの衣服にほころびをうむ。
すんのところでアルフはすべてを交わす。
「!」
それらの攻撃を交わしているうちに、アルフの顔から余裕が表情が消えていた。
アルフの反撃の拳も、同様に空を切っている。
ガンッ!
体術同士、互いの拳と爪を避け受け打ち込む。
同じような攻防を繰り広げた後、同じタイミングで頭突きの打ちあいを起こしそのまま互いの距離をとるアルフとガルーダだった。




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